先日、交通事故の遭って、首や肩が痛くなったむち打ち症の患者さんが無事治療を終了しました。
約3ヶ月の治療期間でした。
むち打ち症がどれ位で治るかは、ケガの程度や患者さんの丈夫さ、治りやすさなどによって一概には言えませんが、一般的なむち打ち症なら3ヶ月以内で治す事が目標です。もちろん、1週間で治ってお終いの方もいますが、痛みは改善しても、コリ感が完全に取れなくて、治るまでに3ヶ月かかる場合があります。
もちろん、かなり大きな事故で、首に強い衝撃を受けた場合は、半年、1年と治療が続く場合もあります。治るまでの期間はそれぞれですので、医療機関にかかった際に、どの程度の期間で治るかは、説明を受けて下さい。
また、治るまでの期間は、医学的な治るまでの期間とは別に、実際に治るまでの期間が違う場合があります。例えば骨を折った場合。医学的に、骨がくっつくのに1ヶ月かかりますよ!と説明を受けたとします。1ヶ月で痛みも完全に取れて治ってしまう場合もありますが、骨はくっついたのに、いつまでも痛みが取れない・・・とか、雨が降ると痛む・・・など、治るまでに時間がかかる場合もあります。
つまり、医学的に説明出来る治るまでの期間(骨折で骨がくっつく期間)と、本当に痛みが完全に取れる治る期間が違う場合もあるわけです。
ですから、むち打ち症で首や肩が痛む場合も、完全に痛みや不快感から解放されるまでの期間は、初めに診察した時に説明する治るまでの期間とは違う場合も多々あります。
特に、日頃から肩こりがある方は、どこまでが事故による影響の肩コリで、どこまでが日頃の日常生活が原因の肩のコリかが不明なため、治療期間が延びてしまう場合があります。事故直後は痛みが出ていていも、回復するに従い、痛みは取れたが、コリ感になってきます。例え日頃から肩こりがある場合でも、事故の影響で、普段よりも肩こりが出やすくなってしまう事もあるので、肩こりが事故の影響であると言えます。
しかし、事故から時間が経ち、治療を続けていれば、ずっと肩こりが事故のせいとは言えないので、どこかで事故が原因の肩こりとは決別して、日頃の肩こりが原因と考えないといけません。この時期を決めるのは非常に難しく、医療機関の方が一方的に決める事は出来ません。
患者さん自身の心情の問題もあるので、我々医療機関と患者さんとの話し合いで、患者さんが納得する時期をもって、肩こりがまだ残っていても、交通事故の治療は終了にします。
交通事故の場合は、「加害者のせいで、事故に遭って、ひどい目にあった!」というストレスが大きいですし、本当に治るのか?後遺症は残らないのか?などの不安感もあります。いろいろな心情がストレスとなって、治る時期が遅くなる場合もあります。
私達は、治療技術だけでなく、この患者さんのストレスを少しでも改善する事で、治りを早くする事も必要です。